『北京と内モンゴル、そして日本』(集広舎)が「中国研究月報」2015年1月号の書評に取り上げられました。 [ 2015/01/31 ]
『北京と内モンゴル、そして日本』(集広舎)が「中国研究月報」2015年1月号の書評に取り上げられました。評者は、元神奈川大学教員の小林一美氏です。
「中国研究月報」の入手方法は↓こちら
http://www.chuken1946.or.jp/geppou.htm
----- 一部抜粋 -----
本書を読み始めると,まさに著者と家族の波乱
万丈,艱難辛苦,孤軍奮闘の物語,息つく暇もな
く読了した。著者は,1952年に北京の回族の家に
生まれた。まだ幼い著者の家族に襲いかかる両親
の処罰と北京からの追放事件,女子中学生時代に
直接体験する驚天動地の「紅衛兵の暴虐」と「文
化大革命の試練」,1969年「下放」後の6年間に
も及ぶ内モンゴルの砂漠地帯における「生産建設
兵団」の過酷な軍隊的生活,そして1971年頃から
始まる,「毛主席への全面拝跪」からの自我の目
覚め,呪縛からの解放と将来への希望,自力更生
としての「日本語学習」,1975年の北京への帰還
と外国語大学への入学,そして日本への留学と著
者の運命は劇的に変転するのである。私は,本書
を読み終わると,何度となく嘆息し,且つ感嘆し
た。古代以来の屯田兵のような奴隷的労苦と幾た
びかの死の危機に耐え,生き抜き,初志を貫徹し
て大学に合格した著者は,日本人の語学教師の薫
陶を受け,ついに「留日」を果たし,日本の大学
講師に成長した。私は,この著者の両手をしっか
りと握って,手に刻まれた苦労の痕をしげしげと
眺め,こんな克明で誠実な回想記を日本語で書き
上梓した著者に,衷心より直接「お疲れ様でし
た」,「ご出版,おめでとうございます」と言いた
くなった。
----- 一部抜粋 -----
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