書名 : 日本現存朝鮮本研究・史部
編著者 : 藤本幸夫
出版社 : 東國大學校出版部
定価 : 28,000 円
出版年 : 2018/07 月
2007年刊『日本現存朝鮮本目録・集部』(京都大学学術出版会)に続く、日本に現存する朝鮮本の史部文献2960点の目録であり、かつ詳細な書誌的データを収録し、また解題を付した研究書である。分類と配列は『奎章閣図書韓国本総合目録』に倣う。韓国の以前の目録では同版・異版の区別がなかったが、これが最も基本的な問題である。刻手名のある書については、刻手名をすべて網羅的に収録した。これら二点は本書が始めての試図と思われるが、刻手名を精査することにより刊年と刊地をほぼ決定できる。更に序・跋や書籍全体に総合的検討を加え、刊者をも推定した。日本現存朝鮮本には旧蔵者である朝鮮人鴻儒の蔵書印が屢々確認され、その中には本国で既に失われたものもあるが、これも刊年推定に有益である。撰者伝では、従来著録されていなかった生歿年月日・生地・歿地・墓地に就いても能う限り著録に努めた。また「史部」では「年譜・実記・金石文」などが収録されるため、特に被伝者索引を設けた。また、原則として日本現存書を対象とするが、明治初に流出した大英図書館・台湾故宮博物館伝存の朝鮮本も、日本現存書に準じて収録する。
本書では同一書を同版毎に纏め、且つ時代順に配列したので、研究者は一目で最善本がわかり、調査者の労力と費用を大幅に省くことができる。また中国との関係の深かった朝鮮では古くから中国本が多く出版されているが、その中には中国で既に失われた書や、途絶えた系統の書があり、朝鮮本研究は中国学研究にも大いに貢献する。また日本は朝鮮から多くの書を得、それらが日本の学術や文化に深甚な影響を与えているので、日本学研究にも至って重要である。筆者は中国学・日本学を常に視野に入れてきた。朝鮮本は東アジア文化圏において、極めて重要な位置を占める。本書は原則的に日本現存書を対象とするが、明治初に英国・中国に流出した善本も多く、それらは現在大英図書館及び台湾故宮図書館に伝存し、日本現存書に準じて収録した。(序文・夫馬進)
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