書名 : 明清都市商業史の研究
編著者 : 新宮学
出版社 : 汲古書院
定価 : 11,000 円
出版年 : 2017/03 月
序 章
第一部 首都と人口・物流
第1章 近世中国における首都北京の成立
はじめに――首都としての北京
1 東アジアの中の近世中国
2 中国における都の移動――東西移動から南北移動へ
3 北京の成立――それぞれの遷都
〔海陵王の燕京遷都――官僚制的集権システムの受容/クビライの中都遷都――中華世界の拡大/永楽帝の北京遷都――拡大した中華世界の継承/順治帝の北京遷都――多民族複合国家の首都〕
4 都城の改造――大都城から北京城へ〔向北から向南へ/中軸線の問題〕
結びにかえて――東アジア世界の中心としての北京
第2章 明代の首都北京の都市人口について
1 明代北京の都市人口に関する諸説
2 都市空間と同時代人の認識〔都市空間/同時代人の認識〕
3 順天府大興・宛平両県の戸口統計
4 五城兵馬司の保甲統計
第3章 通州・北京間の物流と在地社会――嘉靖年間の通恵河改修問題をてがかりに――
1 嘉靖七年の通恵河改修工事について
〔改修工事の発端/改修工事の内容/剝船の運営方法/改修工事の意義〕
2 通州・北京間の物流に関わる人々
〔漕運に関わる人々/陸運に関わる人々/剝運に関わる人々〕
3 物流をめぐる市場と利害の調整
〔物流をめぐる市場と身分的特権者層/在地社会のさまざまな利害の調整〕
第二部 鋪戸の役と同業組織
第4章 明代北京における鋪戸の役とその銀納化――都市商工業者の実態と把握をめぐって――
1 鋪戸の役の諸特徴
2 鋪戸の定期的調査の実施
〔正統二年令/景泰六年の論議と成化十二年の実施/正徳四年の牌甲法〕
3 鋪行銀の成立〔北京の鋪行銀/通州の鋪行銀〕
4 商工業者の実態とその把握――下三則免徴の分析を通して
第5章 明末京師の商役優免問題について
1 募商から僉商へ
2 商役をめぐる弊害〔代価の支払いについて/宦官の搾取について〕
3 優免特権と錦衣衛
4 宦官による優免決定権の掌握
第6章 明代南京における鋪戸の役とその改革――「行」をめぐる諸問題
1 鋪戸の役の諸特徴
2 鋪戸の役をめぐる弊害と定期的資本調査〔代価の支払いをめぐって/定期的資本調査〕
3 改革への動き〔銀納化の動き/鋪行の革去〕
4 鋪戸の役と行
第7章 明末清初期一地方都市における同業組織と公権力――蘇州府常熟県「當官」碑刻を素材に――
1 分析の素材と視点
2 鋪戸の役と當官碑刻
3 當官碑刻と同業組織
〔典當業/木商・竹行/雑貨業(油麻鋪・乾菓鋪・釘鉄煤鋪)/綢鋪・染鋪/製粉業/銀匠/轎行/梨園業/その他〕
4 同業組織と外来商人
5 徽州商人の定着とその活動
6 結語
第三部 牙行と商税
第8章 明代前期北京の官店塌房と商税
1 明初の官店塌房〔設置意図/設置位置/運営と監督〕
2 官店塌房と商税徴収官庁との関係〔収税則例/官店塌房における商税徴収〕
3 身分的特権者による私有の進展〔官店塌房の賜与/客店塌房の私創〕
第9章 明代後半期江南諸都市の商税改革と門攤銀
1 税課司局の廃止・合併傾向
2 商税銀納化をめぐる問題
3 都市商税改革と門攤課税銀の成立〔蘇州・常州両府の改革/南直隷・浙江各府への普及〕
4 門攤課鈔と門攤課税銀
第10章 明代の牙行について――商税との関係を中心に――
1 明初の牙行政策
2 商税徴収請負の普及
3 牙帖の頒給と納穀
4 営業税としての牙税
第四部 研究動向と書評・紹介
附篇1 1995年の歴史学界―回顧と展望―〈明・清〉
はじめに――地域社会論の現在
〔政治/在地社会の諸相/法制と裁判/財政システム/都市と流通/文化/対外関係/文献と索引〕
附篇2 明清社会経済史の新しい視点――顧誠教授の衛所研究をめぐって――
1 明代の田土統計をめぐって
〔清水泰次の研究/藤井宏の研究/顧誠の研究/張徳信・林金樹の研究/曹樹基の研究/張海瀛の研究〕
2 地方管轄単位としての衛所
〔地方管轄単位としての衛所/衛所の四類型/軍戸と衛所/衛籍の形成/祖軍の原籍と衛籍/清朝の衛所改編〕
3 疆域管理体制の二大系統論が投げかける問題
〔明代の人口数/衛所の改編と耕地数増加との関係/官・民田比率/少数民族居住区の開発と漢族移住〕
附篇3 書評・紹介
1 何炳棣著、寺田隆信・千種真一訳『科挙と近世中国社会――立身出世の階梯』
2 北京市社会科学院・曹子西主編『北京通史』全10巻
3 明代都城遺跡、中都の現況
4 呉仲撰『通恵河志』について
5 劉石吉著『明清時代江南市鎮研究』
参考文献/あとがき/索引(事項・人名・地名)/英文目次
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