書名 : 渤海と藩鎮-遼代地方統治の研究
編著者 : 高井康典行
出版社 : 汲古書院
定価 : 13,000 円
出版年 : 2016/12 月
序 論 考察の端緒
一 遼における多元性をめぐって
二 「征服王朝論」と「唐宋変革論」
三 本書の目的と構想
四 遼朝・契丹国の呼称について
第一部 遼における渤海的秩序の継承と変化
第一章 東丹国と東京道
一 東丹国は廃止されたのか
二 東丹国と東京道
三 東丹国の渤海人
四 再び東丹国の廃止について
補説一 東京と中台省―「東丹国と東京道」再考察―
一 康鵬「東丹国廃罷時間新探」
〔東京の建置と東丹国の廃止/東丹国の外交活動の終焉/象徴としての東丹国とその終焉〕
二 康鵬説の検討
三 中台省と東京の関係
〔渤海宰相羅漢―東丹国・東京と横帳季父房/東京留守と中台省の関係〕
第二章 十世紀の東北アジアの地域秩序―渤海から遼へ―
一 渤海滅亡後の東北アジアの諸集団と「中国」・朝鮮半島との関係
〔所謂「後渤海」の活動/黒水の活動/女真の活動/定安国の活動〕
二 遼における渤海的秩序の継承
〔東丹国使の日本派遣/遼と「中国」との交渉と東北アジア/遼と高麗との交渉と東北アジア〕
三 渤海的秩序の変化
〔九世紀後半の東北アジアをめぐる諸勢力の動向/渤海的秩序の変化〕
補説二 十一世紀における女真の動向―東女真の入寇を中心として―
一 東女真の入寇の概観
二 時期による入寇の消長とその分析〔高麗の状況/女真の状況/遼の状況〕
三 東女真をめぐる遼と高麗の態度
第二部 遼の州県制と藩鎮
第三章 遼の「燕雲十六州」支配と藩鎮体制―南京道の兵制を中心として―
一 遼における藩鎮体制の継承〔藩鎮の軍事行動/衙(牙)隊(軍)〕
二 南京の兵制
〔南京都元帥府、兵馬都総管府/南京統軍司/南京馬歩軍都指揮使司と南京侍衛親軍馬歩軍都指揮使司/各機関の関係〕
第四章 遼の斡魯朶の存在形態
一 「宮衛条」の検討
二 各斡魯朶の成立からみた斡魯朶と所属戸との関係
〔先行研究の整理/斡魯朶と斡魯朶所属州県の関係/聖宗以降の斡魯朶〕
三 斡魯朶の所在地〔斡魯朶の所在地と従行の人戸/斡魯朶と群牧〕
第五章 オルド(斡魯朶)と藩鎮
一 人事から見た斡魯朶所属州県
二 行政・軍事からみた斡魯朶所属州県
三 財政から見た斡魯朶所属州県
四 渤海の州県制と斡魯朶所属州県
第六章 頭下州軍の官員
一 「陳万墓誌」にみえる頭下州軍の官員の地位
二 その他の頭下州軍の官員の事例〔胡嶠/張建立/閻貴〕
三 遼朝官制における頭下州軍の官員〔頭下州軍の官の位階/「部曲」からの昇進〕
第三部 遼の選挙制度と地方統治
第七章 遼の武臣の昇遷
一 『宋会要輯稿』にみえる遼の階官
二 漢人官僚の昇遷事例と唐・宋の武臣の序列〔漢人官僚の昇遷事例/唐・宋の武臣の序列〕
三 契丹人官僚の遷転事例と著帳官〔契丹人官僚の遷転事例/著帳官の位置づけ〕
四 官僚の出自と初任
第八章 遼朝科挙と辟召
一 統和六年以前における「漢人」官僚の主要入仕経路〔恩蔭/流外/辟召・奏薦/科挙〕
二 統和六年の科挙恒常化と辟召の減少
〔摂官事例の減少/辟召闕に対する朝廷の人事権の拡大/科挙及第者の官歴からみた藩鎮人事権の制限の動き〕
第九章 景宗・聖宗期の政局と遼代科挙制度の確立
一 南京礼部貢院復置の詔
二 高勲と玉田韓氏・室昉
〔枢密使、大丞相、秦王、兼南面行営諸道兵馬総管、燕京留守高勲/高勲執政下における漢人の人事/玉田韓氏/室昉〕
三 科挙恒常化への道
第十章 遼朝における士人層の動向―武定軍を中心として―
一 武定軍の地理
二 遼朝前半期における武定軍と士人
〔統和十年前後の武定軍の人的構成/在地有力者と武定軍/武定軍における他地域出身官僚〕
三 遼朝前半期の官僚の家系―大族および文官を中心に―〔大族/文官の家系〕
四 遼朝後半期の武定軍の士人
補説三 唐後半期から遼北宋初期の幽州の「文士」
一 五代における幽州文士
二 唐後半期の幽州と士族
〔八二〇年代以降の幽州来到者たち/唐朝の幽州支配の放棄と幽州に対するイメージの変化〕
三 長慶元年以降の幽州における新興「文士」層の成長―張建章の事例を手がかりとして―
終 論 世界史の中で遼代史をいかに位置づけるか
一 第一部「遼における渤海的秩序の継承と変化」
二 第二部「遼の州県制と藩鎮」
三 第三部「遼の選挙制度と地方統治」
参考文献/初出一覧/あとがき/英文目次/索引
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