書名 : 北京と内モンゴル、そして日本
編著者 : 金佩華著
出版社 : 集広舎
定価 : 2,600 円
出版年 : 2014/03 月
著者自身の体験をつづる壮大なる闘いのドキュメンタリー
なぜ、ふつうの家族が「政治」の嵐に襲われねばならなかったのか?
貧困、差別……に抗し、いかにして、夢追い、夢かなえたのか!
1966年からの10年間にわたって繰り広げられた文化大革命(文革)による犠牲者は、死者1千万人以上、被害者1億人にも及ぶと言われ、経済的な損失も多大なものであった。1980年にはその牽引者であった毛沢東の誤りが認められ、以降、中国国内では未だ正面から議論することが困難な状況にあるとは言え、数多くの「文革もの」が刊行されてきた。 これら既刊書は高級幹部や知識人、その子弟――文革中の迫害は別として恵まれた人びとによるものであったが、本書は、文革中も、前も後も、日々の生活に呻吟する家庭に育った少女の記録である点において異彩を放つ。多感な研ぎすまされた少女の感性によって語られる「生活」は、「政治」また「思想」を語ることなく、市民の目線から中国社会にいまもって存在する現代中国の諸問題えぐりだすものである。
真実をありのまま書くために日本語で書こう、日本に暮らすのだから日本の読者に自分の思いを伝えたい。そう決心して2000年代初めに執筆を開始した第一稿50万字に推敲を重ね、膨大な記録を練りに練り上げた、報告(記録)文学という形式による著者渾身のドキュメンタリードラマである。
目 次
プロローグ
Ⅰ 龍 泥沼でもがく
「龍の生まれ」/折り紙の「お金」/母親の悲劇/気骨がある子供に/紺色の上着/再会の結末/焼肉の饗宴/精いっぱいの愛情/貧しいゆえの喜び/「雪中に炭を送る」/夢を広げる少女/転んでも立ち上がれ/希望に満ちる/不吉な前兆
Ⅱ 運命 翻弄される
風雲急変/恐怖/危険が目の前に/地獄/豚肉を食べる/逃避行/逃げ場がない!/夢の再燃/砂漠に向かう
Ⅲ 青春 死んでもいい!
奇妙な行進/ホソグミの木/二000年前の古墳/命の水/泥レンガの家/第三次世界大戦が起こった?! /臭い女の子たち/ラクダ殺し/穴に潜りたい/母なる川/ガの「姿煮」/夜中の収穫/オアシス
Ⅳ 人生 諦めまい!
役目/砂漠の真ん中で/「希望」という錯覚/万年班長/台湾を解放せよ!/誰か教えて!/このままでたまるか!/日本語/生まれ変わる/不意打ち/一二年ぶりの再会/ブタの後始末/回帰
Ⅴ 夢 追い続ければかなう
チャンス到来/夢が現実に/桜先生/日本へ
あとがき
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