書名 : 清代文人蔣士銓とその戯曲研究
編著者 : 王毓雯
出版社 : 中国書店
定価 : 4,500 円
出版年 : 2013/08 月
袁枚・趙翼とならび、清代乾隆期を代表する文学者・蔣士銓。
蔣士銓の戯曲は、清朝の「文人統制」という束縛の中で、自己の心情を極限まで吐露し表明しようとするものであり、崑曲〈京劇以前,中国の南北で最も流行した演劇〉に最後の息吹をもたらすものであった──。
劇作家蔣士銓(1725-1785)の戯曲制作の実態について分析することで、蔣士銓とその戯曲を再評価する。従来の研究では「戯曲による社会的教化」という特徴を指摘し、体制側の“忠君忠勤思想”の鼓吹者としての側面が強調されがちであった。そのため、これまで彼の戯曲作品は、専ら「勧善懲悪」という視点から解釈されていた。
筆者は、民間信仰と蔣士銓の思想との関係や、揚州の塩商が戯曲制作に与えた影響、乾隆時代の政治、文字獄と戯曲制作といった当時の社会背景・政治環境との関係など、多様な側面から分析を加えることで、蔣士銓の戯曲制作の意義に迫る。
■目次より 序 章 蔣士銓とその戯曲研究の回顧と展望
第一章 蔣士銓戯曲作品における鬼神観について
─袁枚・羅聘との交友関係を通して
第二章 蔣士銓『臨川夢』における湯顕祖像
第三章 両淮塩商江春の文化活動と蔣士銓『四絃秋』の創作
第四章 蔣士銓『一片石』の成立過程について
─清代文士の地方教化活動の一側面
第五章 蔣士銓の戯曲作品における婁妃像
第六章 蔣士銓の戯曲制作と文字獄
終章/あとがき/索引
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