書名 : 中国近代史
編著者 : 范文瀾(著),横松宗(翻訳),小袋正也
出版社 : 中国書店
定価 : 3,800 円
出版年 : 1999/07 月
A5判ハードカバー562ページ
アヘン戦争から義和団運動まで(一八四0~一九00)を活写、
中国人の心に民族と愛国を刻印した歴史認識の手引書。
(日本図書館協会選定図書)
文化大革命末期に没した中国史学の泰斗・范文瀾の数々の著作は、それまでの中国近代の歴史認識を根底から見直すことになる「革命的」観点の所産であった。
新中国誕生後のさまざまな政治的情勢の変遷につれて、それへの評価も多様化したが、結局のところ時流の波に耐えた彼の近代史観は、中国では現在でも社会思想の最も基礎的な手引きであり指標たりえている。中華人民共和国の成立の歴史的必然性を認識し理解するためには、彼の史観の集大成である名著『中国近代史』をひもとくことが不可決の基本的課程とされる。
わが国において三十数年前からこの『中国近代史』に着目してきた、近代中国学のオーソリティとして著名な横松宗・元八幡大学学長らによる邦訳書がこのたびついに世に出た。范文瀾の原書は事柄の記録のみを羅列した通常の史書と異なり、民族意識と革命思想の高まりを内部に包含しつつ克明に史実を追究しているが、邦訳はあくまで原書を忠実に追いながら、流麗かつ明解な訳文によって、第一次アヘン戦争から義和団事件に至る激動の展開を、ドキュメンタリー文学さながらに一気に通読させてしまう。中国近代の歩みと社会思想を考察する研究者および一般教養人にとって、これは必読の書である。
付録として、范文瀾が1944年に延安で書いた問題の論文『漢奸(かんかん)の元凶曾国藩の一生』を収録。
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