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書名 : 殺劫(シャーチエ)―チベットの文化大革命
編著者 : ツェリン・オーセル著ツェリン・ドルジェ写真
出版社 : 集広舎
定価 : 4,600 円
出版年 : 2009/10 月

チベット「封印された記憶」の真実――。 1966年から10年間、チベット高原を吹き荒れた文化大革命の嵐は、仏教王国チベットの伝統文化と信仰生活を完膚なきまでに叩き壊した。現在も続くチベット民族の抵抗は、この史上まれな暴挙が刻印した悲痛な記憶と底流でつながっている。長らく秘められていた「赤いチベット」の真実が、いま本書によって 40余年ぶりに甦る。

本書は、チベット(西蔵)におけるプロレタリア文化大革命(一九六六~七六年)の写真・証言集。原著は、北京在住のチベット人女性作家、ツェリン・オーセル(次仁唯色)氏が、父親のツェリン・ドルジェ(澤仁多吉)氏の撮影した写真を基に、解説を書き加え、関係者へのインタビューもまじえて構成されている。 原著の題名「殺劫(シャーチエ)」の「劫」については、「奪う」、「脅す」、「長い時間」などの意味があり、梵語では「(劫簸)=kalpa」の略とされ、仏教語では「(永遠に回復できない)」や「(厄運、避けられない運命)」という熟語がある。また、中国語には「劫灰(チエホイ)」という言葉があり、大きな災難の名残を指している。例えば、唐詩の中に「劫灰飛尽古今平(飛び尽くして平らかなり)」(李賀「秦王飲酒」)という詩句があるが、全世界を焼き尽くした劫火の後に灰が飛び散り、何事もないかのように平和な日々が続いているといった意味である。 文革研究の空白を埋める――。 文革は共産党の一つの不都合な出来事であり、チベットはもう一つの不都合な問題である。したがって、チベット文革は二重のタブーとなり、なおさら触れてはならないものになっている。……オーセルの父親が撮影したチベット文革の写真は極めて特別な意義を持っていると言える。……オーセルがこれらの写真をめぐって取り組んだ長期間の調査と執筆がようやく完了した。……これにより、文革研究におけるチベットの部分も、もはや空白ではなくなった。 (王力雄「序」より) オーセルさんの不屈の姿勢に対する共感――。 周知のように、中国における言論統制は相変わらず厳しい。しかし、困難な環境にもめげず、ペンの力を信じて中国社会の様々な矛盾や不正と戦っている多くの知識人がいることを、私は長年の現地取材体験を通じてよく知っている。オーセルさんは疑いなく、そうした勇気と良識を備えた知識人の一人である。ジャーナリストもペンの力だけが頼りだ。オーセルさんの不屈の姿勢に対する共感こそが、何にも増して『殺劫』翻訳の推進力となったことを最後に記しておきたい (藤野 彰 訳者あとがきより)。





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