書名 : 図書館社会教育の実践
編著者 : 福永義臣著
出版社 : 中国書店
定価 : 6,000 円
出版年 : 2006/03 月
A5判ハードカバー/257P
図書館創成期の読書運動から得るものは!?
昭和初期、石川県において県立図書館を中核とする全県的な図書館社会教育の実践があった。その中心人物となったのが石川県立図書館長・中田邦造(一八九七~一九五六年)である。京都帝国大学で哲学を専攻し、西田幾多郎に学んだという中田は、のちに東京帝国大学附属図書館司書官、東京市立日比谷図書館長を歴任するが、本書は、高等学校教諭として、また図書館による社会教育として、読書学級や青少年文庫などに実践的に取り組んだ時代に焦点を当て、資料と共に中田の〝読書指導〟の核心を明かそうとするものである。
本が読まれなくなったと言われ、読書への価値観がゆらぎ、図書館のあり方と行方が問われる現在、図書館の原点を考える上で見逃せない書である。
●本書の構成
第1章 本書の目的と課題
1.はじめに/2.中田邦造に着目する理由/3.図書館の課題と本書の課題
第2章 中田邦造の人と著作
1.中田邦造の経歴/2.中田の論文・著作/3.先行研究の概観
第3章 図書館社会教育
1.「自己教育」について/2.石川県の中等学校進学率/3.家庭蔵書調査/4.図書館の対象学/5.図書館社会教育-「附帯施設」をめぐって
第4章 読書指導の実践
1.読書学級/2.青少年文庫/3.図書館の組織づくり(1.石川県図書館協会/2.読書組合・組合文庫/3.石川県中等学校図書室連盟)
第5章 読書指導の協働者たち
1.東田平治と七塚青少年文庫/2.川辺甚松と農村読書会/3.梶井重雄と清明塾/4.堂前貢と図書館研修
第6章 学習意欲の形成
1.学級生・文庫生の学習意欲の醸成/2.町村における図書館経営と読書指導/3.中田邦造のダークサイドと読書指導の収束/4.おわりに
[資料編]
〈第3章 図書館社会教育〉関連
1.公共図書館の社会性の具体化
2.図書館対象の考へ方
3.町村図書館の社会教育的働(1)
4.読書会・研究会・座談会-町村図書館の社会教育的働(2)
5.適書推薦と個人別閲覧票・読書日録-町村図書館の社会教育的働(3)
6.町村図書館の図書購入上の一策
〈第4章 読書指導の実践〉関連
1.読書文庫・読書組合
1.巡回書庫の更新/2.組合文庫について-昭和6年度の状況とその将来/3.第1期組合文庫の成績批判/4.組合文庫加入状況一覧
2.読書学級
1.読書学級生は何を如何に読んでいるか/2.県下読書学級夏期臨時集会状況/3.読書学級三年間の内面的決算/4.読書学級の友へ/5.読書・体験・労働 読書に生きる人々の強さ
3.青少年文庫
1.皇太子殿下御生誕記念青少年文庫新設費寄贈 木谷書次郎氏の美挙/2.読書教育についての新計画-青少年文庫の創設にあたりて/3.青少年文庫の申込について/4.青少年文庫の具体的目標とその方法/5.青少年文庫開設のところ 附所用図書の群/6.読書指導講習会ノ記/7.青少年文庫一覧
4.図書館の組織づくり
1.県下図書館協議会の声を聞く/2.石川県中等学校図書室連盟の結成/3.中等学校巡回文庫の実施)
〈第5章 読書指導の協働者と学級生〉関連
1.満州移民地よりの読書会報告
2.文部省・大政翼賛会 読書会指導者思想錬成要項
3.読書学級について-感想・希望・意見
あとがき
索引(人名ほか組織・法令政策などの事項)
●著者略歴
福永義臣(ふくなが・よしおみ)
一九三六年生まれ。熊本大学法文学部文学科卒業(文学士)、九州大学大学院教育学研究科教育学専攻修了(教育学修士)、九州大学大学院人間環境学研究科発達・社会システム専攻博士後期課程単位取得退学。公立高等学校教諭を経て、九州国際大学(図書館学課程)教授、その間、九州国際大学図書館長兼教育情報ネットワークセンター長を一期兼任。
著書に、『ゆとりある教育の展開一新教育課程と学校図書館』(全国学校図書館協議会、共著)、『同書教諭の任務と職務』(共著・全国学校図書館協議会)、『学校経営と学校図書館』(樹村房、編著)など。
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