書名『漫画学入門』 
ご寄稿者名朝日新聞
投稿日 7/02 日
編著者日下みどり
出版社中国書店
出版年月2002.4.
ISBN4-924779-66-0

書評九大で「漫画学」を講義する 日下翠さん(54)
   白紙なら自分でやるしかない
 「マンガもピンからキリまであるけど、萩尾望都なんて
  そこらの小説よりずっと上よ」。コミックに埋もれた
  研究室で怒り出した。世界に冠たるMANGA大国・
  日本。だが、国内での取り扱われ方が、よほど腹に
据えかねるらしい。
 マンガは絵と文字と擬音の三つで構成され、文学の
延長上にある総合芸術・と言い切る。視覚的だから、
想像の幅は狭まるが、感情に直接訴える。絶妙なコマ
割りは映画に通じるスピード感を生む。
 「まさに新たなメディアだ」。研究価値を感じたもの
の、学問としての大系化はまったくの白紙。「だったら
自分でやるしかない」と、01年から大学で「漫画学」
の講義を始め。『漫画学入門』(中国書店)を刊行した。
 専門は中国の大衆文学。「フィクションが卑下され続
けた」中国に比べ、日本には紫式部以来、千年のフィク
ションの歴史がある。そんな土壌がマンガの文化を育み、
成熟を促したという。
 大阪生まれ。物心ついたら兄たちのマンガが周りにあ
った。マンガ読みたさに字を勉強した。4000冊を所蔵。
毎月、数万が新刊に消える。「マンガやってる大学教授」
なんかが新聞記事にならない社会に、と願っている。

朝日新聞 2002年6月25日 (研究室から)


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