『寧波の美術と海域交流』 東アジア美術文化交流研究会 編 2009.09 B5平/230頁 定価 3,360円(税込) 寧波は、近代になって上海が港町として開かれるまで、東アジアの海域交流 圏の中心となる港町であった。また寧波は、天台山や普陀山、五山の禅林を 揺籃する仏教文化の聖地として、また著名な科挙官僚を輩出した浙東学派の 故郷としても知られていた。交易と文化とが重層化する拠点。そこに寧波独 自の顔がある。 地域社会の信仰のなかで祈りの対象とされた仏画や仏像であれ、海を舞台と 経済活動の商品であれ、人的交流の贈答品であれ、寧波から海を渡って日本 にもたらされてきた美術品は、日中間、さらには東アジア海域交流圏におけ る重層的な文化交流の歴史を理解するための良き試金石となるだろう。 2006年12月、九州国立博物館で開催された国際シンポジウムの議論を、ここ にすべて報告する。 目 次 開催趣旨(井手誠之輔) 第一セッション:入宋僧と寧波文化 寧波をめぐる場と美術(井手誠之輔) 「歴史と文化の都市」寧波の保護と研究(許孟光) 栄西の入宋と東大寺復興(谷口耕生) 鎌倉彫刻における宋代美術の受容(藤岡穣) 宋代明州の史氏一族と東銭湖墓群(岡元司) 討論 第二セッション:遣明使の視界 北京を拒絶する―雪舟入明時の蘇州画壇(石守謙) 十五、十六世紀における朝鮮画壇の中国画認識と受容態度―対明観の変化を中心に(洪善杓) 日明交流と肖像画賛(伊藤幸司) 雪舟の中国絵画に対する認識をめぐって(畑靖紀) 明代における寧波と日本の文化交流(張如安) 討論 |